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全日本合唱連盟創立70周年に際して(提言) [私の意見]

全日本合唱連盟創立70周年式典
 2017年5月20日(土)に東京で掲記の記念式典が開催され、新聞記事(下記)によると、第一回合唱コンクールに参加した関学グリーなど4団体が歌声を披露したそうだ。実におめでたいことである。
20170521合唱連盟70周年朝日朝刊.jpg
朝日新聞記事(2017.5.21.)

 合唱連盟のHPによれば、東京からは、東京ウィメンズ・コーラル・ソサエティと松原混声合唱団が招かれている。第一回合唱コンクールに参加した東京リーダーターフェルは招かれていないが、このところコンクールに参加していないので、連盟への貢献と言う観点からは当然か。

合唱連盟の意識
 合唱連盟のHPには、「わが国は、世界の中で最も合唱の盛んな国のひとつです。合唱団の数は、小・中・高校、大学、職場、おかあさんコーラス、一般と、あわせて数万に達します。これらの合唱団に所属する人たちはみな、合唱を楽しむことによってひろく音楽に親しみ、わが国の音楽文化のまことに大きな基盤を築きあげているのです。合唱音楽の普及と向上、合唱団の育成と指導、そして音楽文化の発展に寄与することを目的とします。」とある。

この意識に対して
 合唱連盟のHPに書かれた内容には、なんか違和感がある。
 まず、誇らしげに「わが国は、世界の中で最も合唱の盛んな国のひとつです。」とあるが、その意味は合唱団の数と合唱人口のようだ。
 確かに、「小・中・高校」は、熱心な教師がコンクール参加を目指し、ある数の合唱団が維持されている。大学は、学生運動盛んだった、衰退の時期からはずいぶん復旧したように見えるが、1960年代の人数と熱気にはまだまだ戻っていない。職場の合唱団は、昔に比べればそんなに多くはない。おかあさんコーラスは元気が良く、演奏スタイルが現代的で、これは盛んと言える。ところが一般合唱団は、一部の若手の団員が集まった合唱団は別として、全般的に高齢化が止まらず、行く末が案じられる状況である。
 また、「合唱団に所属する人たちはみな、合唱を楽しむことによってひろく音楽に親しみ、」との表現にも違和感がある。合唱団内で周りを見回しても、歌うこととその後の飲み会を楽しんではいるが、来日した素晴らしい合唱団の演奏を聴いたり、合唱以外にもひろく音楽に親しんでいる団員がたくさんいる、とは、とても考えられないからだ。

記念式典での理事長の挨拶にも違和感がある
 記念式典での岸信介理事長が、「合唱の普及にさらに努め、世界の平和に貢献したい」とあいさつした、と新聞記事にあることも気になった。それは、日本の合唱界の現状に、何ら疑問を持っていないような発言に聞こえるからだ。
 現在の日本の合唱界は、歌っている人たちだけの自己満足で、聴衆はまったく満足していないことには気が付いておられないようだ。(おかあさんコーラスを除いて)訳の分からない、歌詞が聴き取れない合唱作品を、楽しいのか、嬉しいのか、面白いのか分からないような、無表情のまま棒立ちで歌うからだ。そんな合唱演奏を、演奏会場に来た市民は聴かせられているのだ。
 だから、理事長が言う「合唱の普及」とは、単に合唱団の数とか、合唱団員の人数が増やすことだけを言っているようで、合唱好きの一般の人たちを増やすことは考えておられないように聞こえる。エストニアほどではなくても、合唱が一般国民に親しまれ、愛されることを目指すことは、お考えの中に入っていないようだ。
 「世界の平和に貢献したい」との発言は、世界平和に関してどのような思いを持ち、どんな形で活動したいと考えているのか、不明である。そのような「言葉遊び」をするより、合唱がより一般市民に親しまれ、愛されることを目指し、そのためにはどんな方法があり、どんな手順で進めるのが良いのか、を考える方がよほど生産的ではあるまいか。

合唱連盟の目標は?
 上に書いたことは、現在の合唱界から見れば少数意見かもしれない。しかし、心から合唱を愛する市民が増え、その中から合唱団に入る人が出てくれば、より市民に近い合唱活動をする合唱団が増えるのではないだろうか。そして、それこそが、言葉通りの「合唱の普及」になり、連盟の将来的な目標になるのではないか、と思うのだが、いかがだろうか。
(終)
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